[Intro] [Pizzicato strings count three beats while piano plays the blossom motif in reverse.] 折られた紙に 急いだ墨 閉ざした蝋に 震える指 [Verse 1] 私は夜明け前 君の手から生まれた 濡れた筆の先で 真実だけを集めた 偽られた兵糧 取り替えられた印 同じ密命を受けた 二つの家の名 君は余白の隅 短い言葉を足した 「春の庭で待つ」と 書いてすぐに消した それでも薄い跡は 灯へ透かせば残り 私はその温度を 折り目の内へ守った [Chorus] 封じられた文 声になれぬまま 君の手を離れて 春を待ったまま 封じられた文 真実を抱くまま 届けば変わる明日を 胸に畳むまま 馬は走り 鐘は鳴り 道だけが閉ざされ 封じられた文 時に置き去られ [Verse 2] 使者は杉の峠 一本の矢に倒れた 私を入れた革袋 冷たい泥へ沈んだ 奪った兵は封を見て 都の印に怯え 開かず焼かず隠し 朽ちた祠へ投げた 雨が三度通り 蝋の端が白くなる 戦が二度動き 人の名が灰になる 鼠の歯さえ届かぬ 暗い板の下 私は君の筆圧を 消さぬように眠った [Pre-Chorus] 一日早ければ 刃は止まったか 一刻早ければ 君は戻ったか 紙には走れず 墨には叫べず 真実は静かに 遅れてゆく [Chorus] 封じられた文 声になれぬまま 君の手を離れて 春を待ったまま 封じられた文 真実を抱くまま 届けば変わる明日を 胸に畳むまま 馬は走り 鐘は鳴り 道だけが閉ざされ 封じられた文 時に置き去られ [Interlude] [Piano and cello trace the route of the missing courier in short descending phrases.] [Bridge] 私は剣ではない 盾にもなれない けれど一行だけで 軍を止められる 私は声ではない 涙も流せない けれど君の最後の 願いを抱いている 扉の外で今 誰かの足が止まる 遅すぎる光が 祠の隙間へ入る [Final Chorus] 封じられた文 声を取り戻して 泥の革袋から 震える手へ渡れ 封じられた文 真実を開いて 届かなかった時を 刃の前へさらせ 馬は倒れ 鐘は消え 春までが閉ざされ それでも君の文字は 嘘だけを切り裂け 封じられた文 遅すぎた証 彼女の手に届く時 君はまだ生きているか [Outro] [The waltz pulse stops; paper-like pizzicato gives way to one sustained violin note.] 封はまだある 墨はまだある 願いはまだある 時間だけがない